日本人の2人に1人がかかり、3人に1人は亡くなる病気なのに治療法が確立できていない、それが恐ろしいがんの実態である。しかし科学者の努力により、がんが遺伝子病であること、抑制できる遺伝子があることなどがわかってきた。本書はがんの基礎知識から遺伝子DNAとの関係、がん抑制遺伝子による治療の可能性などについて、わかりやすく解説していく。
放射線はどれだけDNAにダメージを与えるか? がんからあなたを守るがん抑制遺伝子とは?
『がんとDNAのひみつ』
著者:生田 哲(いくた さとし)
価格:952円+税 色数:オールカラー
ジャンル:医学 刊行:2012年1月 ISBN:978-4-7973-6197-1
<著者>
生田 哲(いくた さとし)
1955年、北海道に生まれる。薬学博士。がん、糖尿病、遺伝子研究で有名なシティ・オブ・ホープ研究所、カリフォルニア大学ロサンゼルス校( UCLA)、カリフォルニア大学サンディエゴ校( UCSD)などの博士研究員を経て、イリノイ工科大学助教授(化学科)に。遺伝子の構造やドラッグデザインをテーマに研究生活を送る。帰国後は、生化学、医学、薬学などライフサイエンスを中心とする執筆活動を行う。著書に、『脳は食事でよみがえる』『よみがえる脳』『脳と心を支配する物質』(サイエンス・アイ新書)、『脳地図を書き換える』(東洋経済新報社)、『心の病は食事で治す』『食べ物を変えれば脳が変わる』(PHP新書)、『ビタミンCの大量摂取がカゼを防ぎ、がんに効く』(講談社+α新書)、『いまからでも間に合う! 家族のための「放射能を解毒する」食事』(講談社)、『ボケずに健康長寿を楽しむコツ60 』( 角川oneテーマ21)など多数。
生田哲と学ぶ、脳と栄養の教室 http://www.brainnutri.com/
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<目次>
第1章 遺伝子はつねにダメージを受けている
01 健康なからだとがんになったからだ
02 がんはDNAの異常によって発生する
03 からだを守るDNA修復システム
04 がんは古くからの病気である
05 がんは遺伝子の病気である
06 遺伝子とはなにか
07 ヒトの細胞、染色体、遺伝子
08 DNAの立体構造
09 DNAの立体構造の詳細
10 DNAのメッセンジャーボーイ
11 ヒトのDNA
12 DNAの異変はたえず起こっている
13 さまざまな変異
14 変異はどのようにして起こるのか
15 DNAダメージ、がん細胞、アポトーシス
16 自殺のアポトーシス、他殺のネクローシス
第2章 遺伝子のダメージと発がん
01 私たちは化学物質を摂取して生きている
02 栄養物質の運命
03 口から入った有害物質の運命
04 体内で発がん物質がつくられる
05 化学的なDNAダメージ
06 究極の発がん物質:発がん物質の運命
07 放射線によるDNAダメージ
08 直接的なDNAダメージ
09 間接的なDNAダメージ
10 放射線がDNAの塩基を壊す
11 紫外線によるチミン・ダイマーの生成
12 変異原物質を迅速に見つけるエームス・テスト
第3章 ダメージを受けたDNAの修復
01 健康に生きるのに欠かせないDNA修復
02 さまざまなDNA修復
03 DNAの複製がはじまる前に修復する:除去修復
04 DNAが複製する途中で修復する:組み換え修復
05 ミスマッチ修復
06 DNAのメチル化がカギ
07 DNA修復がとどこおるとがんが発生する
第4章 ウイルスによる発がんとがんを発生させる遺伝子
01 ウイルスとは遺伝子の小包である
02 ウイルスの形と遺伝子
03 レトロウイルスの構造
04 がんウイルスの発見
05 がん、遺伝子、ウイルス:初期の研究
06 DNAがんウイルスとRNAがんウイルス
07 「セントラル・ドグマ」への挑戦
08 逆転写酵素の発見
09 がん細胞はどこからきたのか
10 がん増殖のモデル
11 正常細胞とがん細胞の増殖パターン
12 ウイルスによる発がん研究は単細胞レベルでできる
13 ウイルスが細胞をがん化する2つのしくみ
14 レトロウイルスのライフサイクル
15 がん遺伝子を探し求めて
16 温度を変えるだけで細胞をがん細胞に変身させる
17 サーク遺伝子の発見
18 ついにサーク遺伝子を捕まえた!
19 がん遺伝子は細胞内にもともとあった
20 ウイルスは遺伝子の運び屋である
21 がん遺伝子の検出
22 1個の塩基の変化で細胞ががん化する
23 転座で発生するヒトの白血病
24 がんタンパク質とそのはたらき
25 がんタンパク質とそのはたらき:③チロシンのリン酸化酵素
26 意外、リン酸化はチロシンに起こっていた!
27 ⑤核タンパク質
第5章 新しく脚光を浴びはじめたがん抑制遺伝子
01 重要にもかかわらず目立たない、がん抑制遺伝子
02 がん抑制遺伝子の発見
03 がん抑制遺伝子が失われるとがんになる
04 遺伝子の染色体における住所
05 最初のがん抑制遺伝子の分離
06 発がんのモデル
07 突発性の網膜がんを見事に説明する「2ヒット説」
08 家族性の網膜がんの原因
09 Rbタンパク質は細胞の増殖を抑えるブレーキ
10 顕微鏡によるがん抑制遺伝子の探索には限界がある
11 遺伝子を大幅に入れ替える染色体シャッフリング
12 染色体シャッフリングによるRb遺伝子の喪失
13 DNAプローブでがん抑制遺伝子を追跡する
14 2つのタイプのがん抑制遺伝子
15 細胞をがんから間もあるp53がん抑制遺伝子
16 p53タンパク質とRbタンパク質のコンビ
17 DNAダメージのあるケース
18 がん細胞におけるp53タンパク質のはたらき
19 がん治療とp53遺伝子
20 治療しやすいがんと治療しにくいがん
21 p53タンパク質のまったく新しいはたらき
22 私たちをがんから守るがん抑制遺伝子
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