宇宙の新常識「ロシア参加のわけは?」

Q.なぜ、国際宇宙ステーション計画にロシアが参加するようになったのですか。

A.長年対立してきた構造がなくなり、アメリカとロシアが協力しあえる関係になったからです。

 国際宇宙ステーションのルーツを紐解けば、1982年にアメリカが決定した宇宙ステーション計画に行きあたる。しかし、その道のりは簡単なものではなかった。決定から2年後の1984年に、当時のロナルド・レーガン大統領が「人が生活できる宇宙基地を10年以内に建設する」と打ち出し宇宙ステーション計画の実施に向けて、具体的に動き出した。翌年の1995年にはヨーロッパ、カナダ、日本の参加が決まった。

 この宇宙ステーション計画は、新素材開発などの材料実験、生命科学実験から、将来実現するであろう月や惑星探査の中継基地などたくさんの機能が盛り込まれた大規模なものだった。しかし、その後、開発費が膨れあがってしまったために、目的を宇宙実験だけに限定したフリーダム計画に整理して再出発した。フリーダムという名前は、共産主義圏に対抗した自由の象徴という意味合いが込められていた。

 そのフリーダム計画も1990年代に入り岐路に立たされた。資本主義陣営として対抗すべき相手である旧ソ連が崩壊したことにより、フリーダム計画を推進する意義が失われてしまったのだ。加えてアメリカの赤字も再び膨らみはじめ、フリーダム計画に巨額の資金を投資する意味があるのかと問われるようになってしまった。結局、クリントン大統領の時代であった1993年に、フリーダム計画は大幅に規模を縮小したアルファ計画に変更となったのである。

 また、同じ時期に、崩壊したソ連の地位を継承したロシアがアルファ計画の流れに合流することになった。これは資本主義対共産主義という対立構造が解けて、アメリカとロシアが協力関係を結ぶ下地ができたことによって実現したものであるが、もう1つ理由があった。誕生間もないロシアは、経済や内政も混乱していたため、宇宙技術が拡散して、他の国でミサイルなどの軍事技術として転用されてしまう危険性があった。宇宙ステーション計画へのロシアの参加決定は、宇宙技術の拡散防止という国際政治を意識した判断でもあった。なにはともあれ、宇宙開発が始まって以来、対立を続けてきたアメリカとロシアが協力しあい、宇宙ステーションを建設する現在の国際宇宙ステーション計画がスタートしたのである。

記事/荒舩良孝

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