2009年、F1マシンは大きく変わりしました。競争がより熾烈になるよう、レギュレーションが大々的に変更された影響で、フロントウイングは乱流の影響を受けにくい形となり、リアウイングも幅が大幅に狭められました。複雑な形だったマシンの側面はシンプルになり、スリック(溝のない)タイヤが復活しました。そしてエコの時代を反映したKERS(運動エネルギー回生システム)の登場......。最新のF1事情を徹底解説します!
モータースポーツの頂点を彩る最新技術の秘密
『F1テクノロジーの最前線<2010年版>』
著者:檜垣和夫(ひがき かずお)
価格:952円+税 色数:オールカラー
ジャンル:乗物 刊行:2010年2月 ISBN:978-4-7973-5255-9
<著者>
檜垣和夫(ひがき かずお)
1951年、石川県生まれ。1975年、北海道大学工学部機械工学科卒業。同年、二輪車メーカーに入社し、レーサーや市販バイクの研究・開発、設計を担当。1985年に退職、その後はおもに自動車関係の著述に携わっている。『エンジンのABC』(講談社)、『スポーツカー・プロファイル・シリーズ』『ル・マン―偉大なる耐久レースの全記録』(以上、二玄社)など。『F1最新マシンの科学』(講談社)で第26回交通図書賞受賞。
>>著書/監修書一覧
<正誤情報>
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<目次>
第1章 性能~なぜ驚異的な速さで疾走できるのか
F1の概要
F1マシンに求められるもの
速く走るために求められるもの①~直線走行
速く走るために求められるもの②~コーナリング
速く走るために求められるもの③~ブレーキング
軽量化~いかに軽く、強くつくるか
ホイールベースとトレッド
レギュレーションによる規制の強化~コストの削減
F1と市販車との関係
今後のF1の方向性~要求される環境への配慮
第2章 エンジン・駆動系~リッター当たり300馬力のモンスターを解剖する
●第1部 エンジン・駆動系の概論
F1エンジンに要求されるもの
出力を上げるには
燃やす混合気の量を増やす方法
圧縮比と燃焼室形状
回転を上げる方法
最高出力の目覚ましいアップ
気筒数とその配列
ボア・ストローク
エンジンの使用数の制限
仕様の統一と開発の凍結
●第2部 F1エンジンのメカニズム
基本部品
動弁系
吸気系
電子制御の燃料噴射
排気系
冷却系
点火システム
潤滑系
ECU
エンジンの始動
燃料
運動エネルギー回生システム(KERS)の導入
KERSの具体的なシステム
KERSのメリット・デメリット
2009年シーズンのKERS
セミ・オートマチック
ギアボックスのハウジング
変速段数
シームレス・ギアボックス
クラッチ
リミテッド・スリップ・デフ(LSD)
ドライバー支援システムの禁止
ドライブシャフトとジョイント
第3章 車体構造~鋼より強くアルミより軽い
カーボンファイバー
フレーム~F1マシンの基本骨格
カーボン・モノコック
モノコックの製作方法
燃料タンク
コックピット
ボディカウル
第4章 空力~目には見えない空気の力を味方につける
ダウンフォースの重要性
グラウンドエフェクト
2009年のレギュレーション変更
フロントウイング
可変式フラップ
ノーズ形状
リアウイング
ウイングカーからステップドボトムへ
ディフューザーをめぐる騒動
サイドポンツーン
マシン中央部の空力装置
風洞実験
CFD
第5章 足回り~ビッグパワーを路面へと伝える仕組み
サスペンションの役割
ダブルウィッシュボーン
プッシュロッドとトーションバー・スプリング
フロント・サスペンションのレイアウト
ダンパー
F1におけるタイヤの重要性
ブリヂストンのワンメイク、そして......
グルーブドタイヤからスリックタイヤへ
タイヤのメカニズム
空気圧と温度
レギュレーションによる規制
タイヤのトラブル
ウエットタイヤ
ホイール
カーボン・ブレーキ
F1のブレーキ・システム
キャリパー
ステアリング・システム
ステアリングホイール
第6章 安全性~1994年以来「死亡事故ゼロ」のワケ
F1の高い安全性
カーボン・モノコックの多大なる貢献
マシンの安全装備
ドライバーの安全装備
火災対策
サーキットの安全設備
第7章 マシン開発・レース戦略~日夜繰り広げられるコース外での戦い
マシンの開発・製作①~車体
マシンの開発・製作②~エンジン
シミュレーション技術の進歩
セッティング
テレメトリー・システム
ピットとドライバー間のコミュニケーション
計時システム
フライングと速度違反の感知システム
車載カメラ
大きく変わるピットストップ戦略
ピットストップの作業内容
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