鳥インフルエンザ、エボラ出血熱、マールブルグ出血熱、SARS、エイズ――人の命を奪うこれらの恐ろしい病気は、ウイルスが原因です。本書では、殺人ウイルスの正体、ウイルスと闘う研究の最前線、人の体がウイルスを撃退する免疫の仕組み、細菌を病原菌にしてしまうバクテリオファージ、植物を襲うウイルス、そして、なぜウイルスは存在するのかを解き明かすRNAワールドまで徹底解説します。

新型インフルエンザはどうして危険なのか?
致死率80%以上の凶悪ウイルスとはなにか?
『殺人ウイルスの謎に迫る!』
著者:畑中正一(はたなか まさかず)
定価:1,000円(税込み) 刊行:2008年12月 ISBN:978-4-7973-4976-4
<著者プロフィール>
畑中正一(はたなか まさかず)
1933年、大阪府生まれ。1958年、京都大学医学部卒業。1963年、京都大学大学院医学系修了(医学博士)。京都大学ウイルス研究所所長、塩野義製薬医科学研究所所長、同医薬研究開発本部長、塩野義製薬代表取締役副社長などを歴任。京都大学名誉教授。おもな著書に『ウイルスは生物をどう変えたか』(講談社)、『キラーウイルスの逆襲』(日経BP社)、『殺人ウイルスへの挑戦』(集英社)、『iPS細胞ができた!―ひろがる人類の夢』(集英社、共著)などがある。
<目次>
第1章 殺人ウイルスの台頭
第1節 世界中で命を奪ってきたインフルエンザウイルス
●全世界で4,000万人を殺した「スペイン風邪」
●人は経験したことがない新型ウイルスに弱い12
●スペイン風邪以降も大流行したインフルエンザ
●なぜ新型インフルエンザは鳥からやってくるのか?
●なぜインフルエンザはアジアで発生することが多いのか?
●H5N1型インフルエンザウイルスにどう対応したか?
●インフルエンザの治療薬は諸刃の剣
●インフルエンザウイルスとふつうの風邪ウイルスは別物
●新型インフルエンザウイルスが発生したらどうすればいい?
●医療機関を受診するときも注意●インフルエンザウイルスの種類
第2節 瞬く間に命を奪う恐怖の出血熱ウイルス
●ドイツで起こった不気味な事件~マールブルグ出血熱
●体中から出血して死に至る~エボラ出血熱
●西アフリカでは毎年5,000人が死亡~ラッサ熱
●殺人ウイルスはまだある~そのほかの危険なウイルス
●際限のない開発で未知のウイルスに遭遇してしまう
第3節 700人以上が死亡した新型肺炎「SARS」
●SARSの病原体は「コロナウイルス」
第4節 20世紀後半に登場した不治の病「エイズ」
●免疫力が低下してふだんはかからない病気にかかる
●エイズを引き起こすウイルスが「HIV」
●エイズウイルスの発見競争が激化
●HIVの構造と細胞に感染する仕組み
●HIVの標的となる細胞は決まっている
●世界中でエイズのワクチン研究が繰り広げられる
●いまなお進化中のエイズ治療法~逆転写酵素阻害剤
●逆転写酵素阻害剤とプロテアーゼ阻害剤を組み合わせる
●続々開発される最新のHIV治療法
●HIV感染者が増加する唯一の先進国「日本」
●難しい治療を始めるタイミング
第5節 ウイルスで起こる白血病「成人T細胞白血病」
●キャリアは縄文の血を受け継いでいる人に多い?
●なぜか年配に多い成人T細胞白血病
●複雑な遺伝子をもつHTLV
●HTLVは母乳を飲んだ乳児にうつることが多い
●血液製剤でうつらないHTLV、うつるHIVの違い
●骨髄移植が成人T細胞白血病の頼みの綱
第6節 肝臓がんを引き起こす「B型/C型肝炎ウイルス」
●「肝炎ウイルス」といってもいろいろある
●ずさんな医療行為がB型・C型肝炎ウイルスを広めた
●肝臓がんにつながるB型・C型肝炎ウイルス
●数時間で遺伝子を増やせる「PCR法」で治療効果を判定
第7節 「がん」を引き起こすさまざまなウイルス
●子宮頸がん~パピローマウイルスが引き起こす
●リンパ腫~免疫低下で腫瘍が巨大化する
●ヘルペスウイルス~ふだんは「ガングリオン」に潜伏
第2章 ウイルスの正体を探る
第1節 人は恐怖のウイルスにどうやって対応したか
●世界中の研究者が「SARSウイルス」を研究
●「ベロ細胞」で培養・分離できたSARSウイルス
●呼吸器系と消化器系の病気が多いコロナウイルス
●PCRとインターネットがSARSウイルス発見を早めた!
●SARSで肺炎になる理由は?
●インフルエンザウイルスもSARSウイルスも肺炎を起こす
●凶暴なウイルスもだんだんと穏やかなウイルスになる
●バブル経済をつくったウイルス
第3章 ウイルスに対抗する人の知恵と能力
第1節 危険なウイルスに対抗する人の免疫とワクチンの威力
●インターフェロン~C型肝炎治療の切り札!
●樹状細胞~ウイルスのような異物を発見する警察官130
●自然免疫~わずかな病原体は自然免疫が退治する133
●獲得免疫~自然免疫で防ぎきれないときに登場
●細胞性免疫~「パーフォリン」で感染細胞を自殺させる! 135
●液性免疫~未知のウイルスにも対応できるすぐれもの136
●中和抗体~ウイルスが細胞に感染できないようにする140
●ワクチン~ウイルスの感染を事前に予防する
●ポリオワクチン~生ワクチンの代表選手
●はしかワクチン~はしかの感染者は増加傾向!
●ふうしんワクチン~妊娠前に接種するべき
●おたふくかぜワクチン~かかったことがなければ要接種
●日本脳炎ワクチン~特に接種しておきたい人は?
●黄熱病ワクチン~流行地にいくときは接種したい
●種痘ワクチン~天然痘を予防するためのワクチン
第4章 細菌に感染するウイルス「バクテリオファージ」
第1節 細菌を溶かしたり乗っ取るバクテリオファージの秘密
●凶暴なビルレントファージと穏やかなテンペレートファージ
●ビルレントファージ①~T4ファージ
●ビルレントファージ②~ファージφX174
●ビルレントファージ③~ファージφ29とファージM2
●ビルレントファージ④~繊維状ファージ
●ビルレントファージ⑤~RNAファージ
●「穏やか」だが人にとっては危険なテンペレートファージも
●ラムダファージ~もっとも有名なテンペレートファージ
●「溶原化」する場合~ファージが消えて休眠化する
●「溶菌反応」する場合~ラムダ溶原菌がファージを増殖
●「O157」がだす毒素もテンペレートファージのしわざ
●ベロ毒素が細胞を破壊する仕組み
●ベロ毒素は細菌に感染するウイルスのたんぱく質
●赤痢菌から大腸菌に乗り移ったバクテリオファージ
●O157の感染を防ぐにはどうすればいい?
第5章 植物に襲いかかるさまざまなウイルスたち
第1節 植物に襲いかかるウイルスたちの秘密
●タバコモザイクウイルス
●ポティウイルス
●ビートネクロティクイエローベインウイルス
●ダイアンソウイルス
●ブロモウイルス
●イネ萎縮ウイルス
●イネ縞葉枯ウイルス
●キュウリモザイクウイルス
●ジェミニウイルス
●カリモウイルス
●ウイロイド
●病気を引き起こさない「クリプティックウイルス」
●不思議な伝染の仕方をするクリプティックウイルス
●植物界に広く存在する2本鎖RNA
第6章 ウイルスとRNAワールド
第1節 地球上の生命はすべてRNAを起源とするのか?
●40億年前、RNAの材料「リボヌクレオチド」ができた
●64通りのコドンがたんぱく質をつくるための情報
●生物はかならずRNAを介してたんぱく質をつくる
●DNA→RNA→たんぱく質の流れが「セントラル・ドグマ」
●RNAがDNAをつくる!~「逆転写酵素」の発見
●ウイルスは生物なのか、無生物なのか?
●ナノメートルの世界に住むウイルス
●ウイルスは究極の寄生体
●「ジャンクDNA」はゴミではなかった!
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