青い大海原の中、白波を立てて走る船の姿はかっこいいものです。本書では「なぜ船は水に浮かぶのか?」という基礎のキソから、クルーズ客船、コンテナ船、タンカー、LNG船、高速カーフェリー、水中翼船にいたるまで、船の特徴を写真と図解で解説。船ができるまで、船を走らせる技術、構造強度、運航技術、港やドックの秘密まで盛り込んでいるので、これ1冊で船のすべてがわかります。
タンカーの燃費をよくする最新技術とは? 驚きの方法で曲がる「舵のない船」とは?
『船の最新知識』
著者:池田良穂(いけだ よしほ)
価格:952円+税 色数:オールカラー
ジャンル:乗物 刊行:2008年11月 ISBN:978-4-7973-5008-1
<著者プロフィール>
池田良穂(いけだ よしほ)
1950年、北海道生まれ。1973年、大阪府立大学工学部船舶工学科を卒業。1978年、大阪府立大学大学院工学研究科博士課程船舶工学専攻を単位修得退学。1979年、工学博士号を取得する。1989年、大阪府立大学工学部助教授(船舶工学科)に就任。1995年より、大阪府立大学工学部教授(海洋システム工学科)。著書に『船のしくみ』(ナツメ社)、『図解・船の科学』(講談社)など多数。
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<目次>
第1章 船とはなにか?
01 水面を利用することで人と荷物を楽に運ぶのが「船」
02 重たい船が浮かぶのは「浮力」が支えているから
03 少ないエネルギーで大量輸送できる船が地球を救う
04 「リベット」から「溶接」へと進歩した造船の技術
05 大型の専用船を効率よく建造できる「ブロック建造法」
06 実際にいろいろな船を運航するのは「船会社」
07 日本を代表する3つの船会社を知っていますか?
08 日本の船主が集中しているのは「愛媛県の今治」
09 世界最大のコンテナ船運航会社はデンマークの「マースク・ライン」
10 世界最大のクルーズ会社は「カーニバル・クルーズ・ライン」
Column01 船の重さと大きさを表す「トン」
第2章 船の種類はさまざま
01 客船1~クルーズ客船
02 客船2~カーフェリー
03 客船3~高速カーフェリー
04 客船4~高速客船
05 貨物船1~コンテナ船
06 貨物船2~タンカー
07 貨物船3~ばら積み船(穀物)
08 貨物船4~ばら積み船(鉱石・石炭)
09 貨物船5~ばら積み船(木材チップ)
10 貨物船6~プロダクトタンカー
11 貨物船7~LNG船、LPG船
12 貨物船8~重量物運搬船、モジュール輸送船
13 貨物船9~自動車運搬船
14 貨物船!0~RORO貨物船
15 貨物船!1~冷蔵物・冷凍物運搬船
16 漁船
Column02 なぜ船の速度は「ノット」で表す?
第3章 クルーズ客船の中をのぞいてみよう
01 世界最大のクルーズ客船は建造費に約900億円もかかる
02 船が安全であることはもちろん乗客をいかに楽しませるかも鍵
03 フリーダム・オブ・ザ・シーズはどんなスペックの船なのか?
04 ポッド推進器を動かすシステムはディーゼル・エレクトリック方式
05 4,934人分の水は強力な造水機と大きな清水タンクで確保する
06 船内は乗客を楽しませるためのさまざまな施設が用意されている
07 フリーダム・オブ・ザ・シーズの一般配置図
08 アウトサイド・キャビンとインサイド・キャビンの違い
09 コース料理からハンバーガーまで魅力あふれる食事を食べられる
10 インサイド・キャビンの欠点を解決したユニークなしかけとは?
11 映画館・劇場・カジノ......乗客を楽しませる娯楽施設
12 乗客の安全で快適なクルーズは多くのスタッフが支えている
13 乗客や乗員の胃袋を支える1週間分の食材の量は?
Column03 最新鋭の着岸方法とは?
第4章 船ができるまで
01 船はオーダーメードで造られる「一品もの」
02 引合から基本計画・見積り、そして建造開始まで
03 複雑な構造計算と詳細設計を慎重に行う
04 鋼板搬入から切断、鋼板の溶接、加工、ブロック建造まで
05 建造したブロックを運び、船台やドックに搭載する
06 いよいよ進水! 海に浮かぶ船が誕生する緊張の一瞬
07 難しい進水作業がいらない「乾ドック」
08 船体、電気、機関の3つにわけられる艤装工事
09 試運転間近の最終段階船主検査と船級検査
10 いよいよ性能テスト公式試運転で実力をチェック
11 すべての試験が無事に終わればめでたく船主に引渡し
Column04 造船技術者になるには?
第5章 船を走らせる技術
01 船を動かす巨大な"扇風機"「スクリュープロペラ」
02 船は飛行機と同じように揚力を利用して走る
03 現在の船のエンジンはディーゼルエンジンが主流
04 船が利用する燃料にはどんな種類がある?
05 船が進むのを妨げるのは3種類の水の抵抗
06 造波抵抗は船の速度が速くなると大きくなる
07 造波抵抗を減らす方法1~球状船首(バルバスバウ)
08 造波抵抗を減らす方法2~船体の細長さと安定性の両立
09 表面積に比例して増える摩擦抵抗を減らして燃費を改善
10 船尾形状をじょうずに設計し剥離を避けて抵抗を減らす
11 水の抵抗を調べる「模型実験」最近は「コンピュータ計算」も
Column05 イージス艦はどんな船?
第6章 船の構造強度
01 そもそも破壊とはなにか? もとに戻る変形、戻らない変形
02 材料が破壊されるパターンはいくつかの種類がある
03 最大の曲げたわみ力が働く船の中央の強度はとても重要
04 縦強度はホギングやサギングに打ち勝たなければならない
05 アンバランスな積荷は船を破壊する要因の1つ
06 大きな力が繰り返しかかる船首部分では金属疲労も重要
07 船には船体を振動させるさまざまな力が働いている
Column06 船を瞬時にまっぷたつにする脆性破壊
第7章 船の運航技術
01 荒波の中での運航は危険な現象がいっぱい
02 危険な同調横揺れが復原力消失角に達するのを防ぐ船の仕組み
03 船が一気に転覆することもある恐ろしいブローチング
04 船酔いしやすい船としにくい船、船酔いしやすい場所としにくい場所
05 揺れを減らして不快な船酔いを軽減した高速船
06 安全に航行するために最短距離をとらないこともある
07 大きな船が小さな舵でぐいぐい曲がる理由は?
08 昔の舵輪は大きかったが現在はジョイスティックも
09 スクリュープロペラ船は緊急停止がとても苦手!
10 特殊な推進器を搭載して舵のない船も存在する
11 船の操船は舵が利かない低速時のほうが難しい!
Column07 飛行機の用語は船の用語が語源
第8章 船の仕事の中心は港
01 船籍港は船の戸籍減っている日本船籍の船
02 自然を生かした良港、人の力で作りあげた良港
03 大きく短縮された、港での荷物の積み降ろし時間
04 「キリン」が並ぶコンテナ埠頭広大なコンテナ置き場が広がる
05 運搬設備や管理設備がそろう電子化されたコンテナ埠頭
06 車が自走してそのまま入るRORO船の荷役は早い
07 ぎっしりと車を積んでも車同士は絶対にぶつからない
08 ばら積み貨物を効率よく荷役するためのさまざまな設備
09 入港できる船の大きさが決まる港の水深はとても重要な問題
10 水面からの背が高い新型船は背の低い橋をくぐれないことも
11 巨大な船体をぶつけずに止める高度なテクニック
12 パイロット(水先案内人)を船まで運ぶパイロットボート
13 忘れてはいけない次の航海へ向けての補給
Column08 港での環境負荷を減らす
第9章 船の休憩所
01 船の定期的な検査や修理は安全な運航のための必須条件
02 水面下の船底の掃除や再塗装は船の燃費向上に大きく貢献
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