身体の仕組みを理解するために分子のレベルで生物を見れば、遺伝子組換え食品を嫌ったり、BSE疑惑の米国産牛肉を嫌ったり、あるいは血液型と性格や思考パターンに関連があると思っていたことが、誤解であることに思いいたるはず。バイオテクノロジーの成果を、トピック中心にやさしく図解で解説する。

血液型や遺伝子組換え食品の真実を知る
『やさしいバイオテクノロジー』
著者:芦田嘉之(あしだ よしゆき)
定価:945円(税込み) 刊行:2007年1月 ISBN 978-4-7973-3890-4
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<著者プロフィール>
芦田嘉之(あしだ よしゆき)
1961年、京都府生まれ。大阪大学大学院理学研究科博士(後期)課程途中退学。博士(芸術)。徳島大学歯学部助手を経て広島大学大学院理学研究科助手。呉工業高等専門学校非常勤講師。研究分野は、ガンの転移・浸潤、植物のストレス応答・防御機構など。現在、これらを統合した研究を模索中。
<担当編集者からのメッセージ>
本書は、実際に高等専門学校で使われているテキストをベースに、バイオテクノロジーの初歩から理解できるように図解を加えたものです。
特に、著者が気にしているのは「遺伝子組換え食品」と呼ばれるものです。日本は最大の遺伝子組換え食品の輸入国になっているらしいのですが、それを表示した食品はほとんどみかけません。その理由は、遺伝子を操作した食品への不信感が消費者の間に根強くあるため、表示しなくてもいいように加減しているのだといいます。これなど「遺伝子組換え」が事実であるのに、消費者の目にはふれないよう隠蔽しているのと同じです。
科学の世界では、ヒトをはじめ各種の生物のDNAが解析されて、進化の系統が見直されたり、疾病の予防や、組織再生の道を探ったりしていますが、遺伝子組換えの成果で作られた食品が、不安なイメージだけで利用されない現実は、どう考えてもおかしい気がします。
また、血液型による性格診断(占い?)が大流行していますが、これらの遺伝子に関係する話題のうち、一般に誤って覚えられているような点についても、ていねいに解説されています。血液型に関しても、ABO型で判定するのは1つの解釈にすぎなく、それも赤血球のDNAの一部の塩基配列が変わっただけのものです。輸血するとなると適合性は重要ですが、血液型が性格を支配するなど考えようもありません。
とはいえ、信じている人を説得するには、根拠が必要です。同様に、遺伝子組換え食品が天然ものよりも安全だということも、しっかりした根拠を知らなければ語れることではありません。
本書では、こうしたバイオテクノロジーに関する話題にもふれながら、メインはバイオテクノロジーの入門書として基本の理解を進めるために、かみくだいた説明に終始しています。
<目次>
序章
遺伝子組換え技術に関する意識調査
基本用語の解説-DNA、遺伝子、ゲノム
第1章 生命科学の基礎
1-1 マクロな生物学- 生物とは何なのか
生命とは何か
生と死の境界はあるのか
生物の分類 細胞から
種とは何か
生物の分類 個体から
地球上の生物と生物進化
●コラム 進化学と創造論の違い
●コラム ウイルスは生物?
1-2 分子生物学の基礎と細胞生物学
DNAを見てみよう
遺伝子はどこにあるのか
ゲノムとは何か
遺伝子に何が書いてあるのか
細胞の種類と体細胞分裂 ゲノム2セットの細胞の分裂
生殖細胞 ゲノム1セットの細胞
減数分裂 生殖細胞の作られ方
受精と胚発生
遺伝情報の伝わり方
●コラム ゲノムと遺伝子
●コラム 生殖はなぜ必要か?
1-3 ミクロな生物学- 遺伝子の一生
買ってはいけない 食べてはいけない 危ない「化学物質」
DNAは何からできているのか
DNAの二重らせん構造
細胞分裂のときDNAは複製される
アミノ酸 タンパク質の部品
タンパク質の構造
タンパク質の種類
遺伝情報からタンパク質が作られる
RNAの構造と働きと遺伝暗号コドン
コドンとtRNA
転写 mRNAの合成
翻訳 タンパク質合成
合成されたタンパク質の行き着く先は
突然変異 進化の原動力
突然変異 遺伝子の変異が関係する病気
塩基配列の変異とアミノ酸との関係
細胞の多様性 同じゲノムなのになぜ多様な細胞があるのか
体細胞間で異なるゲノムの例 DNAは意外に満身創痍
●コラム コラーゲンに美肌効果がある?
●コラム ヒトゲノムの「解読」に違和感があります
●コラム アメリカ産牛肉は危険か?
1-4 具体的な遺伝子の構造
チトクロームC遺伝子を例に
分子生物学的な系統樹 塩基配列から進化を見る
鎌状赤血球症の発症メカニズム
遺伝病の仕組み 劣性遺伝と優性遺伝
アルデヒド脱水素酵素遺伝子
お酒の飲める人と飲めない人の遺伝子の違いはたった1塩基
血液型を決める遺伝子
血液型の分子生物学
●コラム 血液型と性格に関連はあるのか
第2章 バイオテクノロジー
2-1 基礎的なバイオテクノロジー
大腸菌を利用した組換えDNA実験1970年代に始まった革命
バイオ実験に使う小物を紹介しましょう
ポリメラーゼ連鎖反応 1980年代に始まった革命
PCR法はあらゆる分野で応用されている
PCR法のキーは特異的プライマの設計だ
PCR法による特異的DNA断片の増え方
DNA断片を分離して確認する方法 アガロースゲル電気泳動法
塩基配列を決定する方法 ジデオキシ法
DNAを利用した鑑定方法
●コラム カルタヘナ法 遺伝子組換え生物を使うルール
2-2 植物のバイオテクノロジー
野菜を水栽培してみると
植物の育種 遺伝子組換え技術以前の技術
伝統的な野菜って何だろう
そもそも遺伝子組換え食品とは
アグロバクテリウム法 よく使われる遺伝子導入法
害虫抵抗性遺伝子組換え作物
除草剤耐性遺伝子組換え作物など
遺伝子組換え食品を作るときの問題点
国産遺伝子組換え作物の花形 スギ花粉症緩和米
遺伝子組換え食品の表示制度
ゲノムと遺伝子の違い 古典技術と遺伝子組換え技術との違い
遺伝子組換え食品は種の壁を越えているのか
遺伝子を操作するのは神に対する冒涜か
ゲノムと遺伝子 野球とのアナロジー
ゲノムと遺伝子 企業のDNA
●コラム 天然なら安全、人工なら危険か?
●コラム 遺伝子組換えの法則
2-3 動物とヒトのバイオテクノロジー
クローンとはそもそも何なのか
受精卵クローン
クローン動物の応用 クローン動物の作成技術
雑種 かつてレオポンという珍獣がいた
キメラ 妖怪「くだん」もキメラ
胚性幹細胞の利用
遺伝子改造人間を作ることもできてしまう
小説の中のクローン人間
DNAチップを使ったオーダーメイド医療の可能性
●コラム RNA新大陸発見
































































































































































